[概念・原因および症状]

坐骨神経痛は、坐骨神経や脊髄神経根の圧迫、椎間板ヘルニア、梨状筋症候群、腰部脊柱管狭窄症などの原因により生じる。坐骨神経が走行している部位とその支配領域における疼痛である。腰部、殿部、大腿後面、下腿後外惻および足外側の痛みをいう。原因としては、座骨神経自体の炎症や他の病巣からの感染、座骨神経走行途中の組織病変や機械的な圧迫によるものなどがある。病理学的に、病変が椎間および椎間孔で起こったものと、病変が椎間外で起こったものの2種類に分けられ、前者が多い。

1)病変が椎間板および椎間孔で起こったもの

発症は急性および亜急性で、初期には腰背部にだるさや不快感が起こり、数日や数週間後には腰部から下肢に痛みが発生する。固定的な痛みの放散パターンは、腰部→片側の殿部→大腿後面→膝窩→下腿後外側→足外側に至る順である。痛みの性質は焼かれるような、あるいはナイフで刺されるような痛みである。夜間になると痛みがひどくなり、くしゃみ、咳などによる腹圧の増加によって激しくなる。立位、座位、側臥位のいずれにおいても重心が腱側に片寄る。腰椎の棘突起の両側や、第4・第5腰椎間の外側に圧痛点が見られる。SLR テストやラセーグ微候が陽性で、膝蓋腱反射は減弱か消失する。

2)病変が椎間板外で起こったもの

発症は亜急性および慢性で、腰痛や腰部の不快感は顕著でない。疼痛部位は主に坐骨神経の走行に沿って発生し、坐骨神経孔付近の大殿筋や梨状筋、大転子付近など、特に腓腹筋の筋腹に圧痛が強い、痛みを和らげるような姿勢もみられ、SLRテストやラセーグ徴候が陽性で、膝蓋腱反射は減弱か消失する。

[期待される効果]

抹消血液循環の改善、筋緊張の緩和、鎮痛効果など、TENSを用いることによって、比較的良好な結果が得られていいる。

[電極配置]

最長筋、腸助筋、長短腓骨筋、大腿二頭筋腱、腰背腱膜、半膜様筋腱、大殿筋、中殿筋などのトリガーポイントや圧痛点の中から数カ所を選択して通電する、電極配置部位は毎日同じ部位ではなく、1回の治療ごとに部位変えて行う。電極は腰部や大殿筋にある圧痛点と膝窩や脛骨外惻顆下方の前脛骨筋や長指伸筋にある圧痛点、脛骨粗面の内側にある疼痛部位に配置する。

・刺激周波数・強度:2~5Hz運動領域よりやや強めで行う。

・刺激時間:10~15分(患者の体質により加減すること)、治療は週2~3回 10回を1クールとし、各クールの間に適当な休みをとる。

※ 電極配置の見方としては、同じ番号の黒丸(⚫️)と白丸(◯)同士を1対として刺激する( )内は、刺激する領域の神経支配を示す

❶ ❷ 第2・3腰椎棘突起間両側各々約4cmの腰背腱膜上(腰神経後枝)
① ②第4・5腰椎棘突起間両側各々約4cmの腰背腱膜上(腰神経後枝)
正中仙骨菱、第3仙椎突起の外下方約9cmの大殿筋・中殿筋上(上・下殿神経、中、上殿神経)
殿溝の中央の大殿筋上(坐骨神経・下殿神経)
外巣とアキレス腱の間陥凹部(脛骨神経、浅腓骨神経、腓腹神経)

・コメント

坐骨神経痛の誘因は様々であるため、本症状の治療のほかに病因に対する治療も大切である、治療期間中には十分な休憩をとり、患部を冷やさないように注意する。