[概念・原因]

加齢、ストレス、生活習慣の欧米化などが原因であり、片麻痺を引き起こす疾患の中では、脳血管障害が圧倒的に多い、罹患部位、程度、や治療時期の適切さによって予後は相当に異なる事が知られている。したがって、発症時の脳障害の徴候を一刻も早く察知し、病院での診断、治療を受ける。

[症状]

肩麻痺の症状は、身体一側の上肢・下肢に限局した運動麻痺である。最も多く見られる脳の障害部位内包の周囲で、その大脳皮質、脳幹、脊髄でも起こる。内包周囲の障害で反対側の舌、顔面部、上肢、下肢部に中区性麻痺が起こる。大脳皮質や皮質下にも障害があるときは、片麻痺で言語障害(ブローカ失語症、ウェルニッケ失語症など)、皮質性感覚障害(手足の痺れ、痛覚、冷覚、熱覚、圧触覚の機能低下)、失認(感覚失認、半側空間失認、視覚失認など)、失行などを伴う。

[TENS療法の実際]

肩麻痺のリハビリにTENSを用いると、運動機能、感覚機能、痙性麻痺、関節可動域、ADLなどの改善があげられる。

[期待される効果]

抹消や中区における血液循環の改善、神経活動の賊活、筋緊張の緩和、痙性麻痺や筋萎縮の予防。

[治療例]

・電極配置 両側の頭板状筋、項靭帯、棘間筋上、腰背棬腱膜、咬筋、口輪筋、短撓側手根伸筋、長撓側根伸筋、胸鎖乳頭筋、増帽筋、第1背側骨関節、菱形筋、前脛骨筋、長腓骨筋、外惻広筋、大腿二頭筋、浅指屈筋などのトリガーポイントの中から数ヵ所を選択して通電する。実際のTENS治療の電極配置の一例を図に示す。

・刺激周波数・強度

効果的な周波数は、上肢、下肢に2~50Hz 肩関節に100Hz 刺激強度は運動閾値よやや強めで行う。

・刺激時間

10~30分(患者の体質により加減すること)、治療は毎日1回、10回を1クールとし、各クールの間に適当な休みをとる。

※ 電極配置の見方としては、同じ番号の黒丸(⚫️)と白丸(◯)同士を1対として刺激する( )内は、刺激する領域の神経支配を示す

❶ ❷ 第2・3腰椎棘突起間両側各々約4cmの腰背腱膜上(神経後枝)
① ②第4・5腰椎棘突起間両側各々約4cmの腰背腱膜上(神経後枝)各1対)
上腕骨外惻上顆前下方約6cmの長。短橈骨側手根伸筋上(橈骨神経、外惻前腕皮神
③ 第1と、第2中手骨間の第1背側骨間筋上(尺骨神経、橈骨神経浅枝)
患側頬骨弓中央下縁の咬筋上(下顎神経)
下顎角と耳垂下縁中央の咬筋上(下顎神経、大耳介神経)
腓骨頭の前下縁の長腓骨筋上(浅腓骨神経、外惻腓骨腹皮神経)
脛骨粗面の下縁外方の前脛骨筋上(深腓骨神経、外側腓骨腹皮神経)
足背の第1・第2中足骨底間陥凹部の第1背側骨間筋上(外側足底神経・深腓骨神経)

コメント

片麻痺を罹患してからどの程度の期間が過ぎてかあリハビリを受けるべきか、補助療法としてTENSを用いても良いかについて、各専門家によって意見は様々であるが、一般の場合7~14日間と考えたらよい。また、初期の治療では刺激量を少なめにし、その後は、強刺激を与えるとよい。治療は少なくとも3~12週間が必要と思われる。片麻痺患者の歩行能力の改善に対して、TENSと運動療法を併用するともっと効果的である。