[概念・原因]
顔面痙攣は、一側の顔面部における突発性で不規則な筋の一種の攣縮であり、中年および老年によく見られ、特に女性に多い、原因は加齢により動脈硬化が進行すると、動脈自身が徐々に蛇行し、脳の深部で顔面神経に血管が接触して圧迫し、神経の興奮を誘発するためでである。まれに動脈瘤や脳腫瘍による顔面神経質への圧迫もあるので、それらの圧迫情報を精査するため、MRIによる検査が必要である。
[症状]
初期には眼輪筋の微細攣縮から始まり、徐々に半側の顔面筋に拡散し不規則的な攣縮が起る。特に口元付近の攣縮が多く見られ、病状が重くなると顔面の半側全体に攣縮が起る。極端な疲労時、精神の緊張時、人との会話時に症状が重くなる。ときには睡眠中にも攣縮が出現する。
[TENS療法の実際・期待される効果]
抹消血液循環の改善、筋緊張の緩和、鎮静効果、顔面痙攣の改善治療に有効である。
・刺激周波数・強度:2~5Hz 刺激強度は運動閾値よりやや強めで行う。
・刺激時間:10~30分(患者の体質により加減する)隔日に1回で行い10回を1クールとし各クールの間に適当な休みをとる。
[電極の配置例]


※ 電極配置の見方としては、同じ番号の黒丸(⚫️)と白丸(◯)同士を1対として刺激する( )内は、刺激する領域の神経支配を示す。
❶ | 患者頬骨弓中央下縁の咬筋上(下顎神経) |
① | 下顎角と耳垂下縁中央の咬筋上(下顎神経・大耳介神経) |
❷ | 外眼角の直下で、頬骨下縁の陥凹部の大頬骨筋上(顔面神経、上顎神経) |
② | 口角外即約1cmの口輪筋上、(顔面神経、上顎神経、下顎神経) |
❸ | 眉毛中央直上の前頭筋上(顔面神経、眼窩上神経) |
③ | 眉毛外端陥凹部の外輪筋上(顔面神経、上顎神経)(眼球周囲なので電気刺激は感覚閾値の強さで刺激を行う |
❹ | 乳様突起と項窩間中央の頭板状筋上(脊髄神経後枝、頸神経後枝) |
④ | 耳垂後方陥凹部の顎二腹筋後腹上(顔面神経、大耳介神経) |
[コメント]
顔面痙攣について参考になる文献は少なく、有効な治療法も少ない、顔面神経ブロックや外科手術あ有効であり、TENS治療は補助的な療法とする。