・概念・原因および症状
気管支喘息は一種の発作性肺部過敏疾患で、この疾患では各種の刺激に対して気管困難、喘鳴、咳などが出現する。外因性型と内因性型に分けられる。発症する人は全人口の約1%を占める。各年齢層とも発病のリスクを持っているが、外因性型(半数以上)は、10~12才以下に発症し、内因性型は40歳以上に発生する傾向がある。秋および冬に発病しやすく、夏になると病状が寛解する。外因性型気管支喘息はしょうに湿疹、食物アレルギー、アレルギー性鼻炎、薬剤過敏などのアレルギー性の既往歴を持つことが特徴で、アトピー型とも呼ばれる。内因性型気管支喘息は精神・神経的な因子、気道感染などが誘因となり、季節と無関係に通年性に発作が持続する傾向がある。これらの原因により気道が刺激されると気管支平滑筋の痙攣、粘膜の充血、水腫粘液分泌の増加などの現象を引き起こし、気管支が狭窄し、呼吸困難に陥る。
発作の前に鼻や喉の痒み、咳、くしゃみなど前兆が見られ、その後、発症する。発作は夜中から、明け方に多く、喘鳴、咳、息切れが見られ、起坐呼吸の状態となる症状の重いものは酸欠が原因で唇や指が紫色を呈する。
・TENS療法の実際
慢性閉塞性肺疾患の患者における呼吸困難や肺機能の改善にTENSを用いると有効である。気管支喘息は閉塞生肺疾患の一つであるため、TENS治療も適用でると考えられる。
・期待され効果
呼吸筋の緊張緩和による呼吸効率の改善
・電極配置
増帽筋、頭半棘筋、頸半棘筋、菱形筋、最長筋「、腰背腱膜、広背筋、腸助筋、前脛骨筋、上腕二頭筋腱、腕橈骨筋、橈側手根屈筋および長母指外転筋などのトリガーポイントや圧痛ポイントや圧痛点の中から数ヶ所を選択して通電する。電極配置部位は毎回同じ部位ではなく、1回の治療ごとに部位を変えて行う。また、第7頸椎棘突起の両側に刺激すると良い効果が得られる。実際のTENS治療の電極配置の1例を図に示す。
・刺激周波数:4Hz(パルス幅200μsec)耐えられる程度の強さで行う。
・刺激時間:約45分(患者の体質により加減する)・治療は隔日1回、10回を1クールとし、各クールの間に適当な休みをとる。
・電極配置例



❶ ❷ | 第7頸椎、第1胸椎棘突起間両側各々約1.5cmの増帽筋・菱形筋上(副神経、頸神経叢筋枝、肩甲背神経) |
① ② | 第3・4胸椎棘突起間両側各々約4cmの(副神経、頸神経叢筋枝、肩甲背神経、胸神経後枝) |
❸ | 手関節前面横紋の橈側陥凹部(外側前腕皮神経・外側腓腹皮神経) |
❹ | 脛骨粗面下緑外方の前脛骨筋上(深腓骨神経・外側腓腹皮神経) |
④ | 外果上約24cmにある陥凹部の前脛骨筋上(深腓骨神経・外側腓骨腹皮神経) |
コメント
発症時の治療だけでなく、寛解期においての心身の鍛錬、免疫力の向上、発作の誘因を避けることも大事である。