概念・原因および症状

肩こりは病名ではなく、頸肩部周囲の慢性的な筋緊張を言い、前腕に症状がおよぶものを総称して頸肩腕症候群という。日本における肩こり人口は非常に多い、男女とも自覚症状として、上位をいしめる。デスクワークや長時間のパソコン、ゲーム、読書による眼精疲労、運動不足、精神的ストレス、過労、内臓疾患、顎関節症、腰痛、変形性脊椎症、更年期障害などの原因で、肩背部の筋郡が持続的に緊張し、局所の血液循環が低下し、蓄積いより生じると考えられる。

症状

後頭部、肩部、肩甲部周囲に不快感や頭重感、筋緊張感、酷くなると頭痛、腕の痺れ、倦怠感、吐き気、集中力の低下、無気力など、様々な症状を伴い、日常生活に支障をきたす。治療方法は様々であるが、肩こりになる原因を除去するおとが大事である。物理療法としては、温湿布、鍼、マッサージ、TENSなどの治療がある。

TENS治療の実際

五十肩における電気鍼の治療が有効であることから、TENSが肩こりに対する治療に効果が得られると考える。

期待される効果

末梢血液循環の改善、筋緊張の緩和、鎮痛効果

治療例・電極配置

増帽筋、胸しゃ乳突筋、頭板状筋、頭半棘筋、肩甲挙筋、棘上筋、棘下筋などのトリガーポイントの中から数カ所を選択して通電する。電極配置部位は、毎日同じ部位でなはなく、1回の治療ごとに部位を変えて行う。実際の電極配置は毎回同じ部位ではなく、1回治療ごとに部位を変えて行う。実際のTENS治療の配置の1例を図に示す。

刺激周波数・強度

① 2~5Hzや ② 2Hzと5Hzの交換刺激、運動閾値よりやや強めにで行う。

刺激時間

10分~15分(患者の体質により加減すること)治療は週2~3回、10回を1クールとし、各クールの間に適当な休み期間をとる。

❶❷:左右乳様突起と項窩間中央の増帽筋・頭板状筋上(脊髄神経後枝、頸神経後枝)❸❹:左右方峰ー第7頸椎棘突起間の増帽筋(副神経、頸神経叢筋枝、鎖骨上神経)
①②:第7頸椎・第1胸椎棘突起両側各々約6cmの増帽筋・肩甲挙筋上(肩甲背神経、副神経、頸神経叢筋枝、頸神経後枝、胸神経後枝)③④:第2・3胸椎棘突起両側各々約9cmの増帽筋・菱形筋上(肩甲背神経、副神経、頸神経叢筋枝、頸神経後枝、胸神経後枝)

コメント

肩こりの誘引は様々であるため、本症状の治療の他に病院に対する治療も大切である。本症状は日本独特な表現用語であるため、同じ「stiff shoulder」にしても、日本は頸部から肩関節までを意味するが、外国では肩関節、肩先、肩甲骨を指す場合が多い。TENS治療の他に温熱療法、運動療法(等尺性運動)を併用すると良い。