手根管症候群とは、手根関節の内側面にある手根管が慢性的に圧迫されることによって生じる痺れや痛み、運動障害などの正中神経絞扼性神経障害である。特に正中神経支配の第1~3指、第4指の橈側に痺れや痛みを感じ、ティネル微候が見られ、手関節屈曲テストが陽性であれば、まず本症候群の可能性が高い、繰り返しの手作業によるての過労、薬物障害、心理的要因、骨折、浮腫、腫瘍による手根管の圧迫、血液透析によるアミロイドの沈着などが原因と考えられる。女性に多く見られる。
症状
初めは第2指~第3指と第4指や第1指の内側に痺れと痛みが起こり、特に早朝の起床時に強く痛みを感じる。痛みや痺れが原因で睡眠中に目をさます事もある。症状が進行すると、知覚神経の障害に伴い運動神経の障害も生じ、支配される筋群が萎縮し、筋力が衰え、日常生活に支障をきたす。
TENSの実際
手根管症候群の治療にTENSを用いる有効である。
期待される効果:炎症と痛みも症状の緩和、廃用性萎縮の予防
治療例・電極配置
電極配置は手首横紋上とその上方約5cm浅指屈筋、橈側手根屈筋上、またはその周囲のトリガーポイントや圧痛点のなから数ヶ所を選択して刺激を行う。実際のTENS治療の電極配置の1例を図に示す。

① 手根関節横紋中央・橈側手根屈筋(正中神経。正中神経浅枝) | ❶ 手根関節横紋中央直上約6cmの浅指屈筋・橈側手根屈筋上(正中神経、内側前腕神経) |
刺激周波数・強度
- 最初に292Hz(2分間)の刺激を与え、その後0.3Hz(18分)の刺激で行う。
- 刺激強度は感覚閾下で行う。
刺激時間
20分(患者の体質により加減する事)治療は1日1回、10回を1クールとし、各クールの間に適当な休みをとる
コメント
感覚閾下刺激なのでチクチクなどの不快感は無いが、運動閾下で感覚閾上刺激(5Hz以下)でも効果があると考えられる。しかし、強い筋収縮を引き起こす刺激では、二次的に幹部の痛みを誘発するい場合があるので注意する。