概念・原因
椎間板ヘルニア等、原因のはっきりしたもの以外の腰痛であり、心因的要素(ストレスなど)や社会的要素(交通事故・労災事故など)が加わり、かつ寒さや気圧なども複雑に関係する場合がある。このような腰痛うが3ヶ月間以上続き通常の治療にもかかわらず寛解しないものを慢性腰痛症という。主に筋膜性腰痛症、椎間板性腰痛症、椎間関節性腰痛症などが引き金となって生じると考えられる。症状としては、腰の鈍痛、疲労感、脱力感、殿部、下肢の痛みなどが現れる。これらは、脊柱周囲の筋、筋膜、靭帯などの変性や無理な姿勢の持続などが原因であり、症状の進行時には関節の変形、肥満、運動不足などの原因加わっていると考えられる。適切な腰痛体操や肥満解消、腹筋、背筋の強化なども一定の効果がある。
TENS療法の実際
慢性腰痛症にTENSを用いると比較的良好な結果が得られる事が報告されている。期待される効果として、炎症と痛みの症状や筋緊張の緩和、筋萎縮の予防がある。
治療例の電極配置
大腿二頭筋腱と半膜様筋腱の付近に圧痛点があれば電極を配置する。それらの圧痛がない場合は、腰背腱膜、最長筋、中殿筋、大腿筋膜張筋、腸助筋などにあるトリガーポイントの中から数カ所を選択して電極を配置する。刺激部位は交代で行う。TENS治療の電極配置の一例を図に示す。

刺激周波数・強度
① 15Hzと30Hzの間欠出力パターンと ② 4Hzや100Hzを運動閾値よりやや強めで行う。暖めると良いのでサーモ導子があれば用いる。
・刺激時間は30分程度、週2~3回で10回を1クールとし、各クール間に適当な休みをとる。
コメント
急激な気温低下降や低気圧が通過する時、一時的に腰痛を悪化させることがあるので、幹部の保温が必要と考える。