[概念・原因]

三叉神支配領域で発生する焼かれる様な、またはナイフで切られる様な激痛を三叉神経痛と言う。発症年齢は50~60歳代に多く、比率は男性よりも女性の方が高い、三叉神経痛は大きく分けると症候性三叉神経痛突発性三叉神経痛がある。前者は脳腫瘍、動脈瘤など、器質的な疾患によるもので、約10%を占める、後者は加齢により動脈硬化が進行すると、動脈自身が蛇行し、脳の深部で三叉神経に血管が接触して圧迫し、神経の興奮を誘発する事によって生じる。

[症状]

突発性三叉神経痛は片側の三叉神経支配領域に、電撃が走る様な”や”ナイフで刺される様な激痛が発作的に起こり、数秒から数分続き、発作が反復する。激痛側に顔面に発赤、流涙、鼻水などを伴う事が多い。会話、洗面、食事、髭剃り、冷たい風に当たる事などで症状が誘発されるのが特徴である。第2枝や第3枝の領域に起こることが多い。

[期待される効果]

三叉神経痛の治療にはTENSを用いると有効である(閾値を上昇させる)ことが報告されている。

抹消血液循環の改善、筋緊張の緩和、鎮痛効果

[治療例・電極配置]

口輪筋、咬筋、眼輪筋、胸鎖乳突筋、増帽筋、菱形筋、第1背側骨間筋、前脛骨筋などのトリガーポイントの中から数カ所を選択して通電する。実際のTENS治療の電極配置の1例を図に示す。

※ 電極配置の見方としては、同じ番号の黒丸(⚫️)と白丸(◯)同士を1対として刺激する( )内は、刺激する領域の神経支配を示す

頬骨弓中央下縁の咬筋上(下顎神経)
オトガイ唇溝の口輪筋上(顔面神経・下顎神経)
頬骨弓中央下縁の咬筋上(下顎神経)
眼窩中央下縁の眼輪筋上(顔面神経・上顎神経)
脛骨粗面下縁外方の前脛骨筋上(深腓骨神経・外惻腓腹皮神経)
足背の第1・第2中足骨底陥凹部の第1背側骨間筋上(外側足底神経・深腓骨神経)

[刺激周波数・強度]

①2~5Hz 痛覚閾値より高めで行う。

②100Hz 痛覚閾値より低めで行う。

[刺激時間]

約30分(患者の体質により加減する)治療は1日1回、10回を1クールとし、各クールの間に適当な休み期間をとる。

[コメント]

症候性三叉神経痛の疑いがあるときには神経の機能検査、MRI検査などを行うことが必要である。神経の専門医であれば確定診断ができる。